中央銀行が今まで景気回復を図るために行ってきた金融政策は2つです。一つは、金利を操作して、景気回復を図る「政策金利の調整」。もう一つが、国債を大量に買入れて、世の中にお金の量を増やす「量的緩和」です。
それでは、それぞれの現状について見て行きましょう。
1,金利を操作して、景気の回復を図る(政策金利)
下記はアメリカの長期金利です。
長期金利は政策金利と連動して動くのですが、戦後、ゼロ付近だった金利は上昇し、1980年代に頂点に達しています。その後下落に転じ、2021年現在は、またゼロ付近まで戻ってきています。
ここから分かることは、戦後は多くのモノを失ったため、作れば売れる時代。つまり景気はうなぎ上りで上昇。しかし1980年代以降は、ある程度の商品が国民に行き渡り、消費者はより魅力ある商品を求め、今まで何の考えもなく作れば売れていた時代が終わったのです。
商品を売るには、アイディアが必要になりました。すると、優れたアイディアを生み出せる一部の企業が儲かり、その他の企業は沙汰されて行きます。中央銀行は、金利操作という形で落ちぶれた企業を支え、助けて行ったのです。しかし現在の金利はとうとうゼロまで来てしまいました。コロナと相まってこれ以上、金利操作で助けることは出来ませんよ。と言うのが実状です。
2,国債を大量に買入れて、世の中にお金の量を増やす(量的緩和)
次に考えたいのが政府債務です。
上記は日本の債務残高ですが、終戦直後に債務は急上昇し、その後インフレからの預金封鎖、そして財産税等という流れによって債務を帳消しにしました。この時の大蔵大臣には渋沢敬三氏が就いています。渋沢氏曰く「取るものは取る、返すものは返す。」と言っていたことから、国民にはしっかりと返してもらうのが筋だと考え、実行したのだと思います。
ここから読み取れるのは、終戦直後の債務が天に駆け上がるように伸びていることです。偶然かもしれませんが、コロナ禍の今も大量にお金が印刷され、天に駆け上がるように伸びていると言う事です。
まとめ
以上、中央銀行の金融政策について見てきましたが、これから先中央銀行が行える金融政策は残っていないと言う事です。
私たちが求められるのは、どんな対応なのでしょうか?
リーマンショック時の対応なのか?それとも、ブラックマンデー時の対応なのか?はたまた、終戦直後の対応なのか?
政府は私たちに優しくメッセージを送っています。2024年に新札を発行しますよ。更にその壱万円札には渋沢栄一氏(渋沢敬三氏の祖父)が描かれていますよ。っと。。。つまり「取るものは取る。返すものは返す。」
戦後の先進国を見ても、ディフォルトした国はなく、英国にあっては戦後のどさくさ紛れに金利を3%に規制し、インフレを放置することで大幅なマイナス金利を実現しました。
国債が国として負った借金である以上、最後の調整の痛みは間違いなく国民に及ぶと言う事です。つまり、国民一人一人が国の歴史を振り返り、しっかりと心に留めておくべきなのです。
5 thoughts on “中央銀行が出来ることは無い。玉切れ後の世界を予想する。”